適応障害とはストレス関連障害の一種です。ストレス関連障害とは特定しやすいストレスがもとで心身の失調をきたす病気です。大きく分類すると
- 適応障害
- 急性ストレス障害
- 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
に分類されます。症状の出現の仕方、程度によって、急性ストレス障害からPTSDに移行したり、適応障害からうつ病に移行したりと診断が変化することもあります。急性ストレス障害・PTSD、うつ病についてはそれぞれの項をご参照ください。
環境変化や辛い出来事、人間関係、思い通りにならないことなどによって、不安やいらいらが強くなったり、悲しく、憂うつになったり、ときに投げ出したり、自暴自棄になったりすることはだれしも経験したことがあるかと思います。適応障害とはこれら「だれしも遭遇しうるストレス」によって予想以上にダメージを受け、心身の不調をきたし、強い苦痛や生活上の支障を伴った状態で、正常範囲の反応の延長線上にあります。ストレスがはっきりしていることが特徴ですが、ストレス強度、ストレス耐性、個体差などにより発病や症状にはかなりの個人差があります。ストレスの原因(ストレッサー)には進学や就職、結婚や出産などの喜ばしいと思われる出来事も含まれます。症状が重くなりうつ病に移行することもあります。
治療
適応障害では、ストレスとなる状況や出来事がはっきりしており、原因を取り除く、離れる、減らす、具体的な工夫を施すことで速やかに改善することがあります。しかし、実際には簡単に原因を解決できないことも多く、そのような場合ストレスに対する構え方・受けとめ方を修正し、ストレス耐性や適応力をあげるような取り組み、治療が必要となります。認知(思考)や行動を修正することにより気分や体調を整える認知行動療法や、不安や気分はあるがままとし建設的・現実的な行動に導く森田療法などが挙げられます。時間はかかりますが、色々な経験を通して、気付きや学びを得て、自然と耐性や適応力が上がるというのも事実だと思います。我々は伴走といった立場で患者様を支えます。