コミュニケーションの障害とイマジネーションの障害で特徴づけられます。
コミュニケーションは相互的なものですが、以下の障害により社会性(相互的に人や社会と関わる能力)が損なわれます。
1.言語的コミュニケーションの障害
『一方的』『字義通り』などの特徴があり会話がかみあいません。
- おかまいなしに一方的に話す
- いくつかの意味やニュアンスが理解できない
- 冗談や皮肉、慣用句、例え話が通じにくい
- 相手に合わせて言葉や話し方を使い分けることができない
- 必要以上に細かく、分かりにくい
- 過度に厳格
- 曖昧や適当な表現が苦手
- 状況は伝えるが気持ちや感情を伝えるのが苦手
などのようなことが起こります。
2.非言語的コミュニケーションの障害
『視線』『表情』『姿勢』『身振り』『声の抑揚』『距離』などの異常、使用の困難に伴い『心情察知』や『空気察知』が苦手となります。
- 視線が合わない
- 焦点が定まらない
- にらみつけるよう
- 不自然
- 相手が喜んでいるのか不快に思っているのかわからない
などのようなことが起こります。
3.共有の障害
周囲や他者への関心が乏しいため、興味・感情や情緒(楽しみや達成感)・活動などを共有することが乏しく、人間関係を発展、維持、理解することができず、友人作り、仲間作りが困難となります。
イマジネーションの障害では、物事の流れを把握したり、これからどうなるかといったことを想像することや予測することが困難なことにより、柔軟性が損なわれます。
- こだわりが強く(生活パターン、習慣、規則)、同じものに固執し、変化を嫌います。
- あいまい、急な変更(予定や物の位置)などは苦手です。
- 興味や関心の幅は狭く(有る無しが極端)、気持ちの切り替えや発想の転換は苦手です。
※DSM-5(アメリカ精神医学会が出版している診断基準)では「興味の限局と常同的・反復的行動」と定義されています。
その他の特性として
- 感覚過敏(逆の鈍麻)
- 得手不得手の偏り(アンバランス)
- 視覚的思考
- シングルフォーカス
などがあります。感覚過敏はとても苦しい症状で、聴覚過敏、触覚過敏、味覚過敏などのため生活に支障をきたします。
治療
病気というよりも、持って生まれた「特有の性質(特性)」と考えられます。診断名にスペクトラムとついていることからも、症状や状態にはかなりのグラデーション、バリエーションがあり、個人差が大きいのが特徴です。一概に「治す」というよりも個別に「学ぶ」「環境を整える」「周囲の理解をはかる」「具体的な支援や援助を利用する」といった方向性が馴染みます。具体的な支援や援助には、障害者手帳や年金制度の利用、就労のためのトレーニング施設への通所なども含まれます。抑うつ気分や不安、興奮、不眠など二次的な症状に対して薬物療法を使用することもあります。