双極性障害はうつ病と同じようなうつ状態に加えて、うつ状態とは反対の躁状態も起こす慢性の気分の病気です。躁状態は自分では気づきにくく、様々な表れ方をします。万能感・高揚感・爽快気分があり、本人としては好調としか自覚できないものや、焦燥感・イライラ・怒りっぽいなど本人的にも苦しいものもあります。はっきりとした躁状態を示すⅠ型と、躁状態が軽度にとどまるⅡ型に分類されます。 躁状態が見落とされ、うつ病として長期に加療された結果、改善が不十分だったり、躁状態が悪化したりするケースが少なくありません。また、単純に性格の問題とされ加療されずに長期に本人や周囲がお困りのこともあります。不安障害やアルコールなどの依存症、摂食障害などの合併症も認められます。
治療
気分安定薬、抗精神病薬などの薬物療法が中心となります。うつ状態の改善が乏しい際や、不安障害などの合併がある際は、限定的に抗うつ薬を併用することもあります。ご本人の苦痛の程度が強い場合や、家族や周囲への影響が大きな際に、入院加療をお勧めすることもございます。慢性的なストレスなどの環境因が影響している際は環境調整、考え方の癖や対人関係を修正する認知行動療法、対人関係療法なども有効です。双極性障害は慢性の病気だということを理解し、適切に気長に治療することが大切です。